ストア哲学は古代ギリシャやローマで生まれた哲学ですが、その教えは現代においても多くの人々の生活に影響を与え続けています。
人生において苦しみや困難を乗り越え、心の平穏と自己成長を求めるための指針として、ストア哲学は非常に有効です。
人生生きているとこうしたほうがいいよと聞く内容が結構ストア哲学で言われていることと似ているなと思い、今回記事にしてみました。
この記事では、ストア哲学をどのように日常生活に活かすことができるか、具体的な方法をいくつか紹介します。
自分に影響を与えられることと与えられないことを区別する
ストア哲学の代表的な教えのひとつに、「自分に影響を与えられることと与えられないことを区別する」という考え方があります。
これは特に、エピクテトスの著作で強調されている教えです。
私たちがコントロールできるのは、自分の考えや判断、行動といった「内面」に関わることだけです。
他人の行動、自然現象、過去の出来事など「外部」の事柄については、どれだけ努力しても変えられないため、そこに意識を注ぎすぎないようにすることが求められます。
具体例で一つ上げてみます。
過去にやってしまった事を後悔することはあると思います。
後悔も自分の中で結論が出ればそれでよくて、世間の人たちに反省していると思われたいためだけに後悔することは意味がないです。
なぜなら他人の価値観は変えられないため、どれだけ反省したら許してもらえるのかというのもその人基準だからです。
世の中に2億人以上いる人間すべてに許してもらおうと思うことはスケールがデカすぎますし、それをしようとすると許しを請うだけで一生が終わります。
自分でどうしようもないことに対し長く悩むことは時間の無駄です。次の行動を起こし、自己成長のサイクルを回していきましょう!
参考に自分の力で変えられることと変えられないことの具体例を記載します。
自分の力で変えられるもの
- 自分の考え方や価値観
- 自分の反応や態度
- 日々の行動や習慣
- 学びへの意欲
- 目標設定と計画
- 感謝の気持ちやポジティブな姿勢
- 時間の使い方
- 人との接し方
- 物事を諦めず努力する姿勢
- 自分の健康管理
自分の力では変えられないもの
- 他人の考えや行動
- 過去の出来事
- 将来の出来事
- 天気や自然現象
- 他人からの評価や意見
- 家族や友人の選択
- 社会の経済状況や政治的状況
- 他人の感情や気分
- 寿命や健康に関わる遺伝的要素
- 世界や社会全体のルールや法則
この考え方を身に着けられれば、私たちは感情に振り回されることなく、現実を冷静に見つめ、建設的な行動に集中できるようになります。
感情を観察し、コントロールする
ストア哲学では「アパテイア(無感動)」という概念があり、これは感情を否定するものではなく、感情に動揺されず冷静さを保つ状態を意味します。
人間の感情は、外部の出来事に対する反応から生じますが、私たちはその反応を理性的にコントロールする力を持っています。
例えば、怒りや不安が湧いた時に、その原因を分析し、冷静に対処することで感情に支配されることを防ぐことができます。
実際に人生でどう使うのか?実践方法を書きます。
感情を観察し、コントロールする実践方法
- 感情が高ぶった時、まずは数回深呼吸をし、少し距離を置くようにします。冷静になってから「なぜこの感情が生じたのか?」「この感情は私にとって役立つか?」と問いかけてみてください。
- 怒りや悲しみ、不安が発生した原因を紙に書き出すことで、感情の背後にある要素が明確化され、客観的に向き合えるようになります。
- 感情の波に流されるのではなく、理性に基づいて対応することで、冷静な判断を下せるようになります。
怒りや不快感の気持ちは突発的に出てくるものなので、それを我慢することはすごく難しいです。
しかしそれを乗り越えられれば感情に左右されることなく、常に冷静で効果的な決断を行う力が身につくでしょう。
現在に集中する
ストア哲学は過去や未来に囚われるのではなく、「今この瞬間」に集中することの重要性も強調します。
これは本ブログでも何度か紹介させてもらっているマインドフルネス、瞑想の事ですね。
正直ガチガチに瞑想をする必要はないのですが、今日は暑いな、とかご飯おいしいなとか、そういうことを楽しみやすい習慣にすることが大事です。
これは反例を出すと意味が分かりやすくなります。
例えば休日や仕事終わりに、明日の仕事、めちゃくちゃ大変なんだよな~、会議の資料とか大丈夫かな?と休日なのに考えてしまう事は未来の心配をしています。
他にも、前に変な人に嫌なことされたんだよな、と休日にずっと思い返すことも過去にとらわれています。
そういう気持ちにならないように「今この瞬間」を楽しむということが重要なのです。
未来の心配事や過去の失敗にとらわれず、「今」に集中することで、内面的な安定と幸福を感じやすくなります。
自分自身に対する高い基準を持つ
ストア哲学では、自分の徳(アレテー)を大切にし、日々の行動を通じて自己成長を図ることが重要とされています。
ストア派は他人の評価に依存せず、自分自身の成長や向上に集中することを推奨しています。
つまり、自己成長を追求し、内面的な価値観に従った行動を取ることで、外部の評価に左右されない安定した心を持つことができるのです。
自分自身に対して高い基準を持つことは、他人との比較ではなく、内面的な充実感と満足感をもたらします。
死を意識して生きる
ストア派の哲学者たちは、死を恐れることなく、その必然性を受け入れるように勧めていました。
「メメント・モリ(死を忘れるな)」という言葉は、彼らの考え方を象徴するフレーズです。
死を意識することで、今を大切にし、無駄な時間を過ごさないようになるという考え方です。
死を意識して生きる実践方法
- 毎日、自分が死ぬことを思い出し、現在の時間がいかに貴重であるかを認識するようにします。
- 「今日が最後の日だったら?」という問いを自分に投げかけ、人生において本当に重要なことにエネルギーを注ぐようにしましょう。
- 他人との関係、達成したいこと、大切にしている価値観など、日常生活の中で一瞬一瞬を大切に過ごすことを心がけます。
死を意識して生きるは壮大すぎるかもしれないですが、自分の健康がやばいかもしれない!と気付いた時にこのことを意識しやすいと思います。
自分の体験談
私も昔、交通事故にあって怪我をして家で寝るしかできない時、自分が健康であることがどれだけよかったのかと気付きました。
交通事故もレアな経験ですが、病気になった時にも同じことを考えやすいはずです。
病気になって寝るしかない時、自分が健康でいられる人生の時間は思ったほど長くないことに気付きます。
人は何か失うことが分かった時に色々と気付くものだと経験的に感じます。
他人との関係において寛容さを持つ
ストア派は人間関係においても、「他人を許し、寛容であること」を重要視しています。
他人もまた不完全な存在であり、自分と同じように感情に左右され、過ちを犯す可能性があるという理解が必要です。
他人の行動や発言に対して怒りや憤りを感じた時、彼らも私たちと同じく人間であり、完璧ではないことを思い出すことが大切です。
他人との関係において寛容さを持つ実践方法
- 他人に対して嫌悪感や怒りを感じた時、彼らも自分と同じく「不完全な存在」であることを思い出してください。
- 他人の欠点を受け入れ、寛容さを持って接することで、自分自身の心の平穏も保たれます。
- 他人に対して抱く期待を少なくし、相手をありのまま受け入れることで、無用なストレスを避けることができます。
他人を寛容に受け入れることは、人間関係を円滑にするだけでなく、他者からの影響を最小限に抑え、自分の心の平穏を保つことにもつながります。
他人に対して寛容になることは自分が思っている以上に良い方向に向かうことが多いです。
例えば他人が良くないことをしたとき、あなたが上手く大人の対応でその場を丸く収めれたならば、その場にいた他の人も、「あの人大人の対応できれいにこの場を収めてすごいなあ」と思うかもしれません。
逆に相手が失礼な態度をとったので、目には目を、ということでガンガンに相手の悪いところを詰めて論破してしまうと、他の人からはあの人怒らせたらこんなに詰められてしまうのだな、と思われてしまいます。
良くないことをした人に対して寛容に接することはめちゃくちゃ難しいです。
相手が怒っていた場合、こちらにも少なからず影響が出てきます。
しかしその感情を乗り越えて大人の対応ができれば一つ上の人間性を手に入れられているのでしょう。
筆者の感想
ここまでストア哲学を人生に活かす方法を説明してきました。
人生ある程度生きてきて、こうしたほうがいいんだろうなということは大体紀元前に広まっていたストア哲学でも言われていたのです。
2000年も前から今の悩みとあまり変わらないことは既に議論されていたのです。
今私たちの時代はインターネットが発達し、紀元前と比べると比較にならないような発展を遂げているのですが、人間の本質的な悩みというのは昔から変わらないところも多いのだろうな、ということに気付けました。
今回伝えたかった大事なことを最後にまとめておきます。
- 自分でどうにかできることとどうしようもないことの区別をつけ、どうしようもないことにあまり時間を割かないようにする。
- 自分の感情を第三者目線で俯瞰して、衝動的に行動しないようにする。
- 過去や未来にとらわれず、今この瞬間を大事にする。どうしようもない過去や未来で時間を使いすぎないようにする。
- 自分自身に対する高い基準を持つ
- 死を意識して生きる。健康寿命を意識して生きる。
- 他の人が失礼なことをしても、人間は完全じゃないから、と寛容になれる気持ちを持つ
全て実践できれば人間力が爆上がりするでしょう。
私も普段から意識しています。
一度だけの人生、よりよいものにしましょう!