はじめに
「もっと早くやっておけばよかったのに…」
締め切り直前に焦って作業を進め、終わった後に後悔する。
そんな経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
宿題、仕事、家事、書類の提出など、「やらなければならない」とわかっているのに、なぜか先延ばしにしてしまい、結局はギリギリになって猛ダッシュ。そのときの集中力は驚異的ですが、「なぜ最初からできなかったのか?」と疑問に感じる人も多いでしょう。
本記事では、なぜ人は締め切り直前にならないと行動できないのか、その心理や脳の仕組み、性格傾向、そして対処法までを徹底的に解説します。
締め切りギリギリまで動けない理由①:人間の脳の仕組み
人間の脳は、「今すぐの報酬」を優先して行動するようにできています。
これを時間割引(Temporal Discounting)といいます。
▶ 時間割引とは?
たとえば、「今1000円もらえる」のと「1ヶ月後に2000円もらえる」と聞かされたとき、多くの人は前者を選ぶ傾向があります。これは、未来の利益よりも、目の前の報酬に価値を感じてしまう脳の性質によるものです。
同じように、「1週間後に締め切りがある」と言われても、まだ時間があると感じ、今すぐの快楽(SNS、YouTube、ゲーム、昼寝など)に流されてしまうのです。
今すぐに結果を求めてしまう事は周りを見ても多いのではないのでしょうか?
新NISAはまだ25%の人しか利用していないですが、パチスロはそこら中にパチスロ店があるほど人気です。
今は直接的な金銭の話をしていますが、それが一週間後のテスト勉強のようにお金ではないことに対しても同じであることは認識したほうがよいでしょう。
締め切りギリギリまで動けない理由②:ストレスとドーパミンの関係
人間は、危機が差し迫ると交感神経が活性化し、集中力が高まります。このとき、脳内ではアドレナリンやドーパミンといった神経伝達物質が分泌されます。
▶ ドーパミンの役割
ドーパミンは「やる気ホルモン」とも呼ばれ、報酬への期待や集中力、快感に関与します。
締め切り直前というプレッシャー下では、ドーパミンが急激に分泌されるため、普段よりも「やる気」が出やすくなり、爆発的な集中力を発揮できるのです。
つまり、ギリギリにならないと頑張れないのは、「ギリギリになることでようやく脳が本気を出す」仕組みがあるとも言えます。
ドーパミンについては下記記事でゲーム中毒として紹介しています。
締め切りギリギリにもドーパミンが出ていることを考えると締め切りギリギリにやることも中毒性があるのかもしれません。
締め切りギリギリまで動けない理由③:完璧主義と不安の裏返し
「まだ完璧な準備ができていないから手をつけたくない」
「うまくいかない自分を見たくないから後回しにする」
このような心理も、ギリギリ行動の原因のひとつです。
▶ 完璧主義による先延ばし
完璧主義の人は「最高の状態で始めたい」という思いが強く、なかなか手をつけられません。
また、失敗への恐れから、無意識に「やらないこと」で自己防衛していることもあります。
結果として、先延ばしにしてしまい、締め切り直前になってようやく開き直り、「完璧じゃなくても仕方ない」と着手できるようになります。
完璧主義者はなかなか行動に移せないという意見ですが、これもよく当てはまると思います。
やらなければ失敗ではないので人に批判されたくない、比べられたくない時はやらない選択もあるでしょう。
しかし結局はやらないと自分がどこまでできるのか?どこでつまづくのか?はわからないものです。
例えば当てにしてた資料が中身がすっからかんで資料から作成する羽目になったり、自分ができると思っていたことがブランクにより全然できなくなっていたり。
完璧主義はデメリットも多く存在する考え方です。
完璧主義についても過去に解説をしていますので参考にしてみてください。
私も完璧主義の性格を変えるのに苦労しました。
締め切りギリギリまで動けない理由④:やる気は「行動」から生まれる
多くの人は、「やる気が出たら始めよう」と考えますが、実はその逆です。
▶ モチベーションは後からついてくる
心理学者の研究では、行動→やる気の発生という流れが明らかになっています。
これは「作業興奮(Task Activation)」と呼ばれ、最初の一歩を踏み出すことで脳が活性化し、集中力やモチベーションが生まれていきます。
つまり、やる気が出ないからできないのではなく、「やり始めていないからやる気が出ない」のです。
締め切り直前という「強制的に行動せざるを得ない状況」になって初めて動けるのは、この作業興奮が遅れて起こっているともいえます。
これは自己啓発の情報を調べるとよく出てくる「最初の5分だけやってみる」というものです。
最初の5分だけ物事を始めると、意外に5分で終わることがなくキリが良いところまでやってしまいがちです。
ただこれは理屈上はそうなんだろうけども実際にやるのは大変です。
そういう場合は決まって「めんどくさいな」という感情に支配されているはずです。
「めんどくさい」に打ち勝つのもかなり難しいです。簡単にSNSやyoutubeといった娯楽に逃げやすい時代だからです。
ギリギリ行動のメリットとデメリット
◉ メリット
- プレッシャーによる集中力アップ
- 短時間で一気に仕上げられる
- 自分の能力に自信がつくこともある
◉ デメリット
- クオリティが下がるリスク
- 精神的なストレスが大きい
- 周囲との信頼関係が壊れることも
- 長期的には燃え尽きやすくなる
メリットを一応書いていますが、基本的にはデメリットでありマイナス行動です。
急いで作ったものはクオリティは低いでしょうし、急いでいるからと周りの人に無理やりアポをとったりするからです。全部自分が前もってやらなかっただけなのに。
無理やり自分があまり気が進まないけど習慣化したり、やったほうがいいんだろうなということを強制力をもってやることが唯一のメリットでしょうか。
対処法:ギリギリにならないための習慣づくり
1. 作業を小さく分ける(スモールステップ化)
大きなタスクは「手をつけにくい」と感じてしまいます。
「1日目はタイトルだけ決める」「2日目は構成を考える」など、タスクを小分けにすると心理的負担が減り、取り組みやすくなります。
ブログだったら1日目はブログを作成するwordpressを立ち上げるだけでもいいと思います。
とにかくハードルを下げて、考えたらやる気がなくなるような目標にせず、もしやらなかった場合はもっとハードルを下げましょう。
2. 作業のハードルを下げる
「5分だけやってみよう」と自分に言い聞かせてスタートすると、脳が「作業興奮」を起こし、そのまま作業に没頭できることが多くあります。
3. 締め切りを分割する
本来の締め切りよりも前に「自分だけの締め切り」を設定し、それを段階的に設けていくことで、最後に焦ることを防げます。
4. ご褒美を設定する
作業後に小さなご褒美(おやつ、ゲーム、休憩など)を用意することで、脳は報酬を求めて行動を始めやすくなります。
まとめ
なぜ人は締め切りギリギリにならないと頑張れないのか?
その背景には、脳の仕組み、ドーパミンによるやる気の発動、完璧主義の心理、そして行動がやる気を生むプロセスなど、さまざまな心理的要因が絡み合っています。
人間は「合理的」なようでいて、実は「感情」に大きく支配されています。
大事なのは、自分の傾向やクセを理解したうえで、無理のない習慣や環境をつくること。
焦って追い込まれる前に、少しずつでも「前倒しで動ける自分」を目指していきましょう。
おわりに
あなたが「なぜギリギリになってしまうのか?」という疑問を持ったことは、自分を変えるチャンスです。
完璧になる必要はありません。少しの工夫で、ギリギリ人間から脱出することはできます。
焦りながら仕上げたレポートよりも、余裕をもって書いた文章のほうが、きっとあなたの力をより正確に伝えてくれます。
「次こそは余裕を持って取り組もう」
その小さな一歩が、あなたの行動パターンを変えていくはずです。



