現代社会において「利他的行動」は、多くの人々にとって重要なテーマとなっています。
人々が自己利益を追求し、競争を通じて成功を目指す一方で、他者の幸福や利益を優先する行動がもたらす価値も無視できません。
他者のために尽くすことに何の意味があるのでしょうか?
この記事では、「利他的行動」とは何か、その本質や歴史的な背景、心理学的な要素、そして現代社会における意義について探っていきます。
利他的行動の定義
「利他的行動」の定義について確認します。
一般的には、自分の利益を顧みず、他者の幸福や利益を優先する行動を指します。
これにより、直接的な見返りを期待せずに他者を助けることが目的とされています。
たとえば、困っている人を助けたり、寄付をしたり、ボランティア活動をするなどの行動が挙げられます。
しかし、利他的行動の本質には「無償の愛」「自己犠牲」という側面も含まれており、単なる慈善活動とは一線を画します。
動物界においても利他的行動は観察されます。
多くの動物は家族に対して利他的行動を示しますが、人間は血縁関係のない他者にも利他的行動を行うことが特徴です。
利他的行動の起源と歴史的背景
利他的行動は、単なる現代の道徳的観念に留まらず、進化の過程で形成されたものとも考えられています。
その進化については下記2点の説があります。
人類は生物学的にも社会的な存在であり、集団で協力することで生存率が高まってきました。
このため、他者を助けることは、最終的に自分自身や集団の利益にもつながる行動として進化してきたとされます。
たとえば、霊長類などの動物においても、利他的行動が観察されることがあります。
親が子供を守るために危険を冒す、群れの中で食べ物を共有するなど、自己の利益を超えて他者に奉仕する行動が見られます。
これらの行動は、単に感情的なものではなく、集団の生存を促進するための本能的なものだと理解されています。
心理学的視点から見た利他的行動
心理学的には、利他的行動はどのようにして生まれるのか、という問いが重要なテーマとなっています。
いくつかの理論が提唱されており、その中には「共感性」「社会的規範」「自己実現」などが含まれます。
共感性
他者の感情を理解し、同情する能力である共感は、利他的行動の大きな動機となります。
他人の苦しみを自分のものと感じ、その苦しみを軽減するために行動することが、利他性の根底にあります。
例えば、自然災害の被害者を支援するための募金活動に参加することは、被害者に対する共感から生じる行動の一例です。
社会的模範
社会においては、他者を助けることが良いとされる規範が存在します。
たとえば、「困っている人を助けるべきだ」という規範が、私たちの行動に影響を与えます。
利他的行動は、このような規範に基づいて行われることがあり、社会的な期待や評価がその行動を促進する要因となる場合もあります。
自己実現
マズローの欲求階層説によれば、自己実現欲求は人間の最高次の欲求であり、他者に貢献することが自分の存在意義を確認する手段となります。
この観点から、利他的行動は自己満足や幸福感を得る手段としても理解されます。
実際、ボランティア活動に参加する人々の多くが、その活動を通じて自己実現感や充実感を感じると報告しています。
利他的行動をすると以下の効果が得られると言われています。
- ポジティブ感情の増加: 他者への親切な行動がポジティブな感情をもたらす。
- ストレス反応の軽減: 脳内物質の変化によるストレス軽減効果。
- 心理的安定: 人間関係によるストレスを低減し、心理的バランスを保つ機能。
利他的行動のパラドックス
利他的行動の一部は、見返りを求めない無私の行動として賞賛される一方で、その動機や目的については議論が続いています。
ある人が利他的な行動を取る理由として、他者に対する純粋な共感からの動機か、自己の評価を高めるための手段か、という点が問題となることがあるのです。
たとえば、慈善活動を行う際、その行動が他者に対する「見返りを求めない善意」から来ているのか、あるいは「自分が善い人間だと思われたい」という欲求に基づいているのか、という問いは、利他的行動のパラドックスを象徴しています。
このパラドックスは、心理学や哲学の分野で重要なテーマとなっており、人間の動機についての深い探求が続けられています。
現代社会における利他的行動の重要性
現代において、利他的行動はこれまで以上に重要な意味を持っています。
グローバル化が進む中で、私たちは多様な文化や価値観を持つ人々と共に生活しています。
その中で、他者の立場を理解し、協力し合うことが不可欠です。
例えば、環境問題や貧困、難民問題などのグローバルな課題は、一人の力では解決できません。
多くの人々が協力し、他者のために行動することが求められます。
利他的行動は、こうした課題に取り組む上での基盤となり、持続可能な社会を築くための重要な要素となります。
また、企業や政治の場においても、利他的なリーダーシップが求められる時代です。
自己利益を追求するだけでなく、従業員や社会全体の利益を考えたリーダーシップが、組織や社会を持続的に成長させる力となります。
デジタル時代における利他的行動
インターネットやSNSの普及により、利他的行動はさらに広がりを見せています。
クラウドファンディングやオンラインコミュニティを通じて、遠く離れた他者を支援したり、ボランティア活動に参加したりすることが容易になっています。
こうした技術の進歩により、個人が手軽にグローバルな利他的行動を実践できるようになりました。
一方で、SNS上では他者に良い印象を与えるために行動する「見せかけの利他性」も見られることがあります。
利他的な行動を取ることが、その人の社会的評価を高める手段として利用される場合もあり、この点に対する批判的な見方も存在します。
しかしながら、たとえその動機が自己中心的であったとしても、結果的に他者の利益につながるのであれば、それも一つの利他的行動の形であると見ることもできるでしょう。
まとめ
利他的行動は、人類が進化してきた過程で培われた本能的な行動であり、現代社会においてもその重要性は増しています。
個人や集団の幸福を追求する上で、利他性は道徳的な行動であると同時に、自己実現や社会の持続可能性にもつながる行動です。
デジタル時代においては、利他的行動の実践がより手軽になり、その価値がさらに広がっています。
見返りを求めず、他者を助ける行動は、私たちがより良い社会を築くための基盤となるでしょう。
私が利他的行動に対して思うこと
私は利他的行動をする理由があまり理解できず今回調査しました。
なぜなら寄付にしても本当にその寄付金は困っている人に届いているのか?寄付した人がネコババしてないのか?と思ってしまうからです。
クラウドファンディングもそうです。
デジタルで寄付なんてしてしまうと感謝の気持ちなんて薄れてしまうのではないでしょうか?
そう思っていましたが、どうやら私たちが寄付をしたり相手をいたわったりするのは種の存続のための本能であるという説が強そうです。
種の存続と考えると、自然災害が起きた時に他の人たちを人種を越えて助けるのは自然災害での被害を最小限に食い止め、人間という種を減らさないためと考えるとしっくりきます。
北斗の拳の世界観と同じで、その場で食べ物を略奪するならずものが利己的行動にあたり、種もみを育てて世紀末の世界に未来への希望を見出そうとしたおじいさんが利己的行動になると考えました。
みんながみんな利己的行動をすると人類は衰退してしまいます。
私が書いた下記ブログで依頼された仕事以上の事をするのも利他的行動に入ります。
結果、利他的行動をすると得をする期待値が高いという結論になったのですが、そこでも利他的行動が優れていることを証明していると言えます。
目の前に報酬がないので利他的行動は損をしているように思うのですが、実際はメンタル面や人類規模でみると得になる期待値が高いということでしょう。